市内でナラ枯れの被害が広がっていると、環境部から次のように報告がありました。


 ナラ枯れとは、カシノナガキクイムシ(以下、カシナガと表記)が病原菌を伝播することによって起こる樹木(主にナラ類、シイ・カシ類)の伝染病のこと。1930年代に宮崎県、鹿児島県で被害が確認されて以来、各地で被害が確認されている。島しょ部を除く都内では2019年に都立公園内で被害が確認された。本市内における都立公園(井の頭公園、中央公園、小金井公園)でも、2019年に被害が確認された。

 ナラ枯れの発生要因としては、カシナガのメスは病原菌(ナラ菌)と餌となる酵母菌類を保持・運搬し、オスは樹木を穿孔し繁殖スペースを作り、集合フェロモンで多数の成虫を誘引する。産卵後、幼虫は坑道内で成長し、羽化した新成虫はナラ菌を持って飛び出し、新たなナラ類等の樹木を探し穿孔する。穿孔の際、ナラ菌の作用により樹木の辺材部の通水機能が失われ、急速に葉が茶褐色に変わり、枯死に至るケースがある。専門家によると約2000〜3000組の穿孔で枯死に至ると言われている。カシナガによる穿孔を受けた樹木の周りには穿孔穴から排出されたフラス(木と糞の混ざったもの)が大量に確認できる。

 現在の市内の被害状況は次の通り(令和2.10.5現在)
  • 枯れ被害:境山野緑地15本(全枯れ1本、半枯れ5本、フラスのみ9本)、グリンパーク緑地1本(半枯れ)
  • フラスのの確認:くぬぎ公園1本、本村公園7本、グリンパーク遊歩道11本、ふじ公園1本、野鳥の森公園2本、三鷹駅北口広場2本、扶桑通り公園2本
 対策として、公園緑地内にはコナラなどのナラ類が非常に多いため、全ての樹木に対しトラップを設置するなどの対策を実施のは、難しい状況にある。このため、まずは公園の中でもシンボルツリーとしているナラ類の樹木や駅前広場などのシンボリックなナラ類等に優先的に対策を講じ、被害を最小限に食い止める。その他の樹木については、今後も現状を注視しながら適宜対応する。また、枯損した樹木の倒木・落枝対策として、切除作業を実施し、安全対策を行う。なお、他地域では、5年程度で被害が縮小していることから5年程度対策を実施し経過を観察する。


 カシノナガキクイムシを完全に駆除することはできませんが、倒木や落枝は人的被害にもつながりますので、しっかりと対策を進めなければなりませんね。